日本コナモン協会「食文化100年継承鉄板会議2023」

「食文化100年継承鉄板会議2023」10月19日開催

鉄板コナモンの歴史をひも解き、現状を確認し、コナモン食文化を未来につなげるための全国会議が、10月19日に開催された。昨年度は「お好み焼」の各地の特性を発表したが、今年度のテーマは「やきそば」。

 
冒頭、麺の起源について、文化人類学者の石毛直道氏より講演があり、「やきそば」のエリア特性や各地の製麺所の動向などに関する全国エリア会議について、熊谷会長より報告がなされた。

 
その後、麺業者、製粉会社、ソース会社が出席して、「ゆで麺、むし麺、生麺!焼きそばに最適な麺は?」をテーマに座談会が行われた。
また、「やきそば総研」設立が発表され、焼きそばの価値向上を目指して、活動を進めることが明らかになり、調査結果も報告された。

 

文化を味わう!コナモン100選-2023年選定 やきそば13点

<北海道>
当初はラーメン専門店が「あんかけ焼きそば」を提供することから始まった。
菊水の「五目あんかけ焼きそば」は、単品で年間150万個(約8億円)。
1960年代にソース焼きそばが登場した。札幌、旭川、函館がラーメンエリアであることから、中華麺を使う焼きそばである。

 
<東北>
エリアによって麺のタイプや味付けは異なるが、蒸し麺が中心。あんかけや五目やきそばと並んでソース焼きそばも定番。昭和50年には、麻婆豆腐のあんを麺にのせた「マーボー焼きそば」が登場。一方、石巻では、昭和5年頃「焼き麺」の記録があり、焼いてもべたつかない麺を開発し、茶色い深蒸し麺となった。
秋田の横手焼きそばは、ゆで麺であるが、これは大阪の影響。材料はゆで麺、豚ひき肉、目玉焼き、キャベツ、福神漬け。だしやラーメンスープで割ったウスターソースをたっぷり使う。

 
<関東・信越>
東京の浅草エリアでは、大正時代初期に深蒸し麺を使ったソース焼きそばが誕生した。昭和に入り、焼きそば専門の屋台が増えて、浅草の名物になった。現在は、蒸し麺に加え、生麵を茹でて使う店が増加し、具材も様々で味付けも多岐にわたる。新潟では、蒸し麺、キャベツ、もやしを特製ソースで炒め、トマトソースをかけた洋食のような新潟イタリアンが提供された。今でも地元のソウルフードとして定着している。

 
<愛知・岐阜>
工業が盛んな工場労働者の町で、手軽に提供できる焼きそばが古くから愛された。特に、名古屋を中心に喫茶店由来の鉄板(鉄皿)を使って出す文化が定着している。細めの蒸し麺が主流で、こいくちソースの親しまれている旨み成分の多いタイプのウスターソースで味付けされている。

 
<京都・大阪>
京都エリアでは、お好み焼店も様々な形で定着し、焼きそばも好まれている。焼きそばの麺は、ゆで麺が主流で、生麺のところは少ない。焼くことを考えて、浅ゆで麺を使う場合もある。大阪をはじめとして、関西は全体的に、ゆで麺、中華系もっちり、甘めのソースを好む傾向がある。焼きそば用としては蒸し麺が主流だったが、ゆで麺のもっちりとして、味がなじみやすい利点から広がった。水分の蒸気が麺の食感をよくするので、だし、スジのゆで汁など「だしツッコミ」し、水分が無くなるまでしっかりと焼き上げる。ソースは、ウスター、濃厚スースを店ごとにブレンドする。仕上げに、青のり、けずり粉をかける。

 
<岡山・広島・徳島・愛媛>
岡山には、お好み焼店が多く、ソースの消費量も広島に次いで多い。焼きそばは、特徴的な「蒜山(ひるぜん)」焼きそばがある。蒜山は高原キャベツの栽培もさかんで、味噌ダレも家庭で作られていたことなどから、蒜山焼きそばが広がった。
広島は、広島市は生麺、尾道市はゆで麺、福山市は蒸し麺。喫茶店では、焼きそば定食が提供され、焼きそばを注文するとオムそばが出てくる店もある。
徳島は、肉類、キャベツ、天かす、もやしをコショウで炒め、麺は後入れが基本。
以前は豚よりも牛を使う店が多かった。ウスターと濃厚ソースで仕上げる。
愛媛松山に根付いた焼きそばとしては、ソース焼きそばとかた焼きそばがある。
三津浜の焼きそばは、キャベツ、天かす、ちくわ(赤)、青ネギなど。

 
<福岡・熊本>
うどん文化が非常に強いエリア。焼きそば、焼うどんに、赤モツ、白モツ、モツを使うエリアは、八幡地区から直方市。麺の両面をしっかりと焼き店も増えている。小倉では、乾麺を茹で戻しした麺を使う店もある。
熊本では、薄くひいた生地の上に、そば焼きをおく「モダン焼」がある。

 

鉄板粉モン年表

※日本コナモン協会「鉄板会議2023パンフレット」のPDFデータはこちらから