「イオン総菜事業新戦略発表会」6月6日開催-シェフ・クオリティの惣菜を「クラフトデリカ船橋」にて製造開始

  

「イオン総菜事業新戦略発表会」6月6日開催

イオン㈱、イオンリテール㈱、イオンフードサプライ㈱の三社より、食の専門家チームが開発した商品をプロ料理人の製造技術でSPA方式にて生産する、新コンセプトの総菜プロセスセンター(以下総菜PC)を、6月6日より本格稼働開始したと発表した。
新総菜PCは、独自に設計したレシピを、厳選素材と製法で心をこめて一品一品つくりあげるという思いより、「Craft Delica Funabashi(クラフトデリカ船橋)」というセンター名称とした。なお総投資額等は非公表。

<新総菜プロセスセンターの概要>
運営会社:イオンフードサプライ株式会社
住  所:千葉県船橋市高瀬町24-6
面  積:延床面積21,868㎡(6,626坪)
製造商品:温野菜、寿司、チルド惣菜、弁当の半加工品・完成品、ソース等
商品供給先:イオンリテール、まいばすけっと等の関東エリア1,500店舗
 

(左より:イオンフードサプライ戸田社長、イオン手塚執行役、イオンリテール井出社長、クラフトデリカ西尾シェフ開発担当)
 
発表会では、イオン㈱執行役兼イオンリテール㈱社長の井出武美氏、イオン㈱執行役物流担当の手塚大輔氏より概要説明がなされた。

「スーパーの食品売場でもプロ料理の品質を気軽に購入したいという、ニーズの変化に対応して、「まいにち、シェフ・クオリティ」をコンセプトに、次世代の総菜PC構想をグループ横断プロジェクトで2021年より進めてきた。このたび、次世代型総菜PCの第一弾として、「クラフトデリカ船橋」を稼働することになった。R&D(研究・開発)機能を有するセンターで、お客様の声やトレンドを反映し、MDサイクルを改革し、新規カテゴリの開拓も進めていく。から揚げグランプリも受賞した「唐王」のように総菜の潜在価値を向上させていきたい。今センターからは関東エリア1,500店舗供給を予定しているが、2028年までに他地区へ拡大展開をしていく方針である」と井出社長より説明がなされた。

「SPA(製造小売)体制のもと、総菜の固定概念を打ち破り、全ての食卓に応える存在になるべく、総菜事業の革新を目指していく。総菜PCでは、
①MD、料理、製造プロチームによりシェフ品質の美味しさを追求するSPA体制、
②シェフの調理工程を生産ラインで再現する製法、製造機器を採用したセンター設計、
③高品質と店舗作業の効率化を両立する商品特性に応じたセンター加工度の最適設計、
という3つの施策により具現化をしていく予定。約40品目の総菜の製造を開始し、100品目まで伸ばしていきたい」と手塚執行役より説明があった。

  

開発商品事例

定番商品の開発商品事例として、自社製オリジナルブイヨンを真空調理により浸透させた「唐王」、原料の鮮度管理を徹底し、独自製法でふっくら感を実現した「アジフライ」、「柔らかく仕上げたチキンと自社製ソースがからむ「グリルチキン 自慢のガーリックライス」など。

 
レストランメニュー事例として、アメリケーヌソースを贅沢に使用した「海老トマトクリームスープごはんーリゾット仕立て」、自社製ハンバーグを使用した「濃厚ホワイトソースで味わう ハンバーグドリア」、ココナッツミルクをふんだんに使用した「タイ風ココナッツカレー」等が紹介された。

  

最後に

本年に入り、セブン&アイグループの「ピースデリ」、マルエツ草加PCセンター、そしてイオングループ「クラフトデリカ船橋」というデリカ強化施策としての製造小売の動きが加速してきている。日本惣菜協会が5月に発表した通り、2023年度の中食市場規模は約105%伸長の10兆9,827億円とコロナ以前に完全に回復してきており、その市場動向からも更に追随する小売企業が予想される。
 
但し、共通課題は、製造や品質管理のノウハウを保有しない流通小売がいかに製造業として事業を成長させることが出来るか、そして製造拠点として収益を稼ぐこと(プロフィットセンター化)が出来るかという点である。今回の発表においても、投資金額や稼働出荷額などが非公表であったが、メーカーであれば当然ながら公表すべき投資計画であるが、まだまだ小売(販売)での利益を中心とした事業計画になっている点と思われ、その点を今後も注視し推移をみていくことが必要と思われる。