イオングループ デジタルシフトの加速と進化、「Green Beans(グリーンビーンズ)」イオンネクスト24年度戦略説明

 
イオン最先端の流通DXを担うイオンネクスト株式会社が、昨年7月より開始したネットスーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」2年目の戦略説明会を実施した。
 
イギリスで2000年設立のネットスーパー運営企業 Ocado Solutionssya社と提携し、最新テクノロジーを駆使したCFC(顧客フルフィルメントセンター)を千葉県緑区誉田に建設し、新たなサービスを開始し1年が経過した。
概況及びこれからの戦略について、イオンネクスト株式会社代表取締役野澤知広副社長、及び取締役太田正道副社長より説明がなされた。
 

■ローンチからの歩みと今後の計画(野澤副社長) 

野澤副社長

グリーンビーンズは先進テクノロジーで運営する大型の物流拠点からの宅配・配送サービスにより、お客様が買い物や家事に費やす時間を節約し、楽しく充実した成生活が出来ることを目指しているが、最初に大田区、千葉市からサービスをスタートし、現在では東京都内13区、千葉県5市、神奈川県川崎市でサービスを提供している。その結果、会員数は21万人を突破したが、構成比の6割が東京、3割が千葉エリアになっている。イオングループにとり、新たな顧客から支持をされている。
 
特に支持されているサービスは、最短当日朝7時から夜23時まで1時間単位でのお届けが出来る点である(一部エリアでは朝6時からのサービスを開始)。また「鮮度+」という1週間の鮮度保証をしている点等も評価されている。さらに、配送も自社で行っていることから、質の高い接客が可能となっているが、女性比率は約13%の比率になっている。さらなるサービスを拡大する為に、2026年度に八王子CFC、2027年度に埼玉・久喜宮代CFCを開設する計画である。特に、久喜宮代CFCは、これまでのCFCより供給力が最大2倍程度を予定している。
 
現CFC内の技術革新も進めていく予定で、Ocado社のノウハウであるAIとロボットを駆使した最先端のCFCと精緻な配送システムを、協業により一層の自動化等を進めていく方針である。

 
■価値向上に向けた今後の取り組みについて(太田副社長) 

太田副社長

サービス開始して1年が経過。リピート施策、継続施策強化の結果、継続顧客の割合が増加し、平均バスケット単価も15%上昇。現在は30,000SKU取り扱い。購買・支持が高いカテゴリーは、生鮮3品、冷凍食品(1,600品目)、日配品、ミールキット(常時30品目)等で、全体の半分程度を占める。3月より開始した「ふるさとマルシェ」も好評。6月からオーガニック商品も企画開始。それ以外に、ペット商品、生活用品、コスメティック、ドラッグ等のサービスを展開。

 
従来の食品ECにおける課題、お客様の声として、「商品の目利きが出来ない、鮮度に対する不安」があったが、この点に対する対応として、「産地から入荷までの短いリードタイム」、「産地から自宅までの途切れることのないコールドチェーン」により、「鮮度+」商品を農産、畜産で提供を進めていく。また、生サーモンのチルドパック等の真空パック商品により、ロングライフ化も図っていく。
 
今回新たなブランドとして、「食べごろ+(プラス)」を発売する。食べごろを予測して、その時にお届けするというコンセプトの商品である。発売開始する商品は、キウイ5品目、メロン2品目、アボガド1品目の合計8品目。

 
またリードタイムを短縮したサービスの商品(茨城県産とうもろこし等)も提供するが、これは収穫当日入荷し、翌日にお届けするというサービスである。
さらに「冷凍鮮度改革」も進めていくが、「CAS凍結」技術を活用したサーモン、「プロトン凍結」をした冷凍寿司なども提供を進めている。

 
■まいばすけっと、Uber Eatsの連携 

イオングループとして、「デジタルシフトの加速と進化」を中期経営計画に掲げて、取り組みを強化しており、「イオンネットスーパー」や「Green Beans」などの取り組みを実施しているが、Uber Eatsとのクイックコマースの分野での新たな取り組み(ピック・パック・ペイ:PPP)について、6月26日に発表した。まずは24年12月までに、まいばすけっとの首都圏約1,000店舗での展開を目指しており、更に全国のイオングループに拡大していく方針である。
 

■まとめ 

2024年の国内ネットスーパー市場は3,360億円(前年比111%)と見込まれており、コロナ禍前の2019年と比較して85%増となっている。ライフスタイルの変化や共働き世帯の増加などから、今後も市場が拡大すると予想されている。
 
最大の課題は、イオングループとして、これらの先行投資をいかに回収して黒字化出来るかという点である。スーパー各社のネットスーパー事業は、赤字に陥り、縮小・撤退する事例も多いのが実態であり、想定通りに計画達成出来るかが注目される。
 
また物流2024年問題に直面しており、物流の再構築が求められている環境においては、グループを超えた他社との取り組みも必要である。首都圏のライフ、サミット、ヤオコー等を中心としたSM物流研究会も現在では16社、4兆円規模にもなってきている。このように際を超えた取り組みに関しても、今後の業界動向を注視していくことが求められている。

 
【ニュースリリース】
イオンネクスト株式会社からの公式なニュースリリース全文はこちら
 ・「グリーンビーンズ感謝祭」を開催
 ・「食べごろ+(たべごろぷらす)」登場