“ロボフレ”による惣菜産業革命で人手不足解消

・日本惣菜協会は、31社のプロジェクト参画企業とともにロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築に向けて、ロボット・AIの実現場への導入を推進してきた
・【惣菜業界初】惣菜・弁当の盛付、蓋閉め工程などロボットシステム開発に成功

一般社団法人日本惣菜協会は、2022年8月に今年度の経済産業省の事業である「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」および、農林水産省の事業である「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうちスマート食品産業実証事業のうち、モデル実証事業」に採択され、ユーザーである小売り・惣菜製造企業15社と、課題解決のためのトップ技術を持つベンダー・協力企業16社とともに、ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築に向けて、ロボット・AIの実現場への導入を推進してきた。
今年度開発したロボットシステムは、「惣菜盛付ロボットシステム(トレー供給一体型)」「惣菜盛付ロボットシステム(省スペース型)」「高速弁当盛付ロボットシステム」「超高速蓋閉ロボットシステム」「製品移載ロボットシステム」の5種類で、うち3種類は業界初※1となる。
さらにロボット導入の障壁を下げるためのロボフレ環境の構築に向けた取り組みとして、「惣菜製造ロボットの最適化」「デジタルツインによる生産性向上」「量子コンピューターによるロボット・人混在のシフト計算」「ロボットシステム・アズ・ア・サービスの立ち上げ検討」「容器・番重のロボフレ化」の5つのテーマに取り組み、うち2つが業界初※1の取り組みとなる。

※1 一般社団法人日本惣菜協会調べ

■プロジェクト参画企業(五十音順)
イケウチ㈱        ㈱グルーヴノーツ       (一社)日本惣菜協会
㈱今里食品        ㈱グルメデリカ        ㈱八葉水産
㈱魚宗フーズ       コネクテッドロボティクス㈱  ㈱ヒライ
㈱エクサウィザーズ    サトウ産業㈱         ㈱ヒロテック
SMC㈱          ㈱三和製玉          フレッシュ食品㈱
㈱FAプロダクツ      ㈱ジャンボリア        ブンセン㈱
エプソン販売㈱      新エフエイコム㈱       ㈱ベルク
㈱エフピコ        セイコーエプソン㈱      マックスバリュ東海㈱
オーケーズデリカ㈱    中央化学㈱          三菱HCキャピタル㈱
カネカ食品㈱       ㈱デリモ           リスパック㈱
㈱関東ダイエットクック  日本サポートシステム㈱

【ロボットシステムの開発】

農水省-惣菜盛付ロボットシステム【トレー供給一体型】

昨年度、経済産業省の事業で開発した惣菜盛付ロボットを、今年度は農林水産省の事業で多様な食材に対応できるように改良を進めた。ハンド、ロボット制御方式を㈱関東ダイエットクック、ブンセン㈱、コネクテッドロボティクス㈱と共同で改良し、和惣菜の盛り付けに成功した。

経産省-惣菜盛付ロボットシステム【省スペース型】(業界初※1)

昨年度開発した惣菜盛付ロボットから、トレー供給を切り出すなど、小型化の検討を行い、設置面積を約1/4(0.6mx0.6m)に縮小した。この惣菜盛付ロボット省スペース型を㈱ベルク(㈱ホームデリカ)とコネクテッドロボティクス㈱、日本サポートシステム㈱とともに開発、現場導入した。

経産省-高速弁当盛付ロボットシステム(業界初※1)

産業ロボット、その中でも廉価なスカラロボットを用いた高速弁当盛付ロボットシステムを、ユーザー企業として、㈱ヒライ、㈱ベルク(㈱ホームデリカ)、開発ベンダー企業として、㈱FAプロダクツ、新エフエイコム㈱、日本サポートシステム㈱、SMC㈱とともに開発した。盛付のタクトは、最大1200個/時間と業界最高速※1 であり、複数の盛り付け食材に対応している。 (上記性能は食材、容器などの条件によって大きく変わる。)

経産省-超高速蓋閉ロボットシステム(業界初※1)

協会の会員調査で機械化の要望の高かった蓋閉め作業の自動化を目的として、調理麺を製造している㈱デリモと、開発ベンダー企業として、コネクテッドロボティクス㈱、㈱FAプロダクツ、新エフエイコム㈱、日本サポートシステム㈱とともに業界最高速※1 最大1500個/時間の超高速蓋閉ロボットシステムを開発した。 (上記性能は容器などの条件によって大きく変わる。)

経産省-製品移載ロボットシステム

惣菜や弁当を始め、多くの食品製造において、ベルトコンベア上で処理された商品は、番重と呼ばれる箱に移載され、出荷工程に送られる。この番重への移載の多くが人手で行われている。今回、この移載の自動化を行うため、ユーザー企業として、弁当を製造する㈱ジャンボリア、レトルト製品を製造するカネカ食品㈱、ベンダー企業として、㈱FAプロダクツ、新エフエイコム㈱、日本サポートシステム㈱とともに開発した。

【ロボフレ環境構築に向けた取り組み】

経産省-惣菜製造ロボットの最適化

スカラロボットで世界トップシェア※2 を持つ、セイコーエプソン㈱とともに、取り扱いが容易で、廉価な惣菜製造に適したロボットを開発した。仕様の見直しによる、更なる低価格化に加え、ロボットとコントローラーの一体型による省スペース化の実現、100V駆動対応による200V電源工事の不要化、食品グリス対応による衛生面向上を行った。

※2 産業用スカラロボットの2011~2021の数量ベース出荷実績において(㈱富士経済『2012~2022ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望』調べ)

農水省-デジタルツインによる生産性向上

将来、人とロボットが混在する製造現場における最適なロボフレ生産計画立案に向けて、㈱魚宗フーズ、オーケーズデリカ㈱、㈱三和製玉、㈱ジャンボリア、㈱デリモ、フレッシュ食品㈱とともに、最先端のDX技術であるデジタルツインで惣菜製造各種工程の最適化シミュレーションを行った。各社、必要なデータを整理することに大変苦労されたが、データ整理が比較的早くできた㈱魚宗フーズにおいては、デジタルツインによる繁忙時の最適化シミュレーションにより、8%の生産時間短縮、8%の必要作業者を低減する最適化された生産計画案を得ることができた。ただ、今回の取り組みで、このようなDXツールを活用する際、最も重要なのが、現場のデータを整理する現場力であることを再認識し、この現場力を如何にサポートできるかについても今後、検討していく。

経産省-量子コンピューターによるロボット・人混在のシフト計算(業界初※1)

昨年度、ベンダー企業の㈱グルーヴノーツと、ユーザー企業として惣菜協会会員の方々とともに、量子コンピューターによるシフト計算モデルの開発を行った。今年度は、㈱グルーヴノーツおよびユーザー企業にマックスバリュ東海㈱、㈱グルメデリカ、㈱八葉水産、イケウチ㈱を迎え、当該モデルの改善・強化に取り組んだ。特に、マックスバリュ東海㈱では、従業員に加えてラインで稼働するロボットも対象にしたシフト計算モデルの開発を行った。惣菜製造工場にロボットを導入し、人とロボットが協働する環境において生産性を高めるには、人とロボットそれぞれのスキルや能力、役割等を考慮して作業計画を立てることが重要。今回は、ロボットの稼働条件も加味し、人とロボットが混在する工場における人員配置の最適化を進めた。

経産省-ロボットシステム・アズ・ア・サービスの立ち上げ検討(業界初※1)

中小企業が多い惣菜製造業界において、資金的に大掛かりな自動化投資が難しい状況にあり、また自社でロボットシステム等自動化設備を使いこなせるだけの知見・ノウハウや人的リソースを有していないことがある。その解決のため、ロボットシステム導入、更に保守までの全てを大きな初期費用が必要ない形で導入できる理想的なロボットシステムのアズ・ア・サービスモデルの構築を検討した。今回、三菱HCキャピタル㈱を中心にサトウ産業㈱をユーザー企業として複数のプレイヤー(ユーザー、メーカー、SIer、レンタル・リース会社)が連携し、ユーザー起点でそのサービスに必要となる機能・要素や、サービスを有効に機能させる為に共有化・標準化していくべきポイント(ロボットそのものや、データ、導入時のマニュアル等)の洗い出しを行った。これらの結果から、中小惣菜製造企業の自動化に貢献するサービスモデルを構築していく。

経産省-容器・番重のロボフレ化

できる限り、簡易で廉価なシステムにするためには、様々なサイズ、形状がある容器・番重をロボットフレンドリーにする必要がある。今年度は、その為の初期検討として、容器においては㈱エフピコ、リスパック㈱、中央化学㈱とともにロボフレ容器の検討を進めるとともに、番重においては㈱今里食品を中心として、あるべき番重サイズの検討を進めた。検討は継続するが、逐次検討結果であるロボフレ環境を活用し、更なるロボット普及を進めていく。

【ニュースリリース】
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