世界初!惣菜盛付工程の全ロボット化、高速社会実装 報告会 -ロボフレと新しい合本主義による惣菜産業革命で人手不足解消-

  

3月21日 ロボフレ事業報告会開催

一般社団法人「日本惣菜協会(東京都千代田区、会長:平井浩一郎)」は、2023年度の経済産業省の事業「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」及び、農林水産省の事業「生産工程高度化推進委託事業」に、ユーザーである小売り・惣菜製造企業9社と、課題解決のためのトップ技術を持つベンダー・協力企業15社と惣菜盛付工程のロボット化に取組んできたが、その報告会が3月21日に開催された。

製造業で最も従事人員数が多く、機械化が遅れている惣菜製造の中でも、最も人手のかかっている惣菜盛付工程であるが、世界初で全工程のロボット化、現場実装に成功した。
今年度開発したキーとなるロボットシステムは、「惣菜盛付全工程ロボット化統合システム」「CVS(コンビニエンスストア)ベンダー向け高精度惣菜盛付ロボットシステム」「触覚ハンド活用多品種対応弁当盛付ロボットシステム」「高速蓋閉ロボットシステム用清流機」「製品移載、番重移載連動ロボットシステム」で、半年間で開発から現場実装を実現した。
さらにロボット導入の障壁を下げるためのロボフレ(ロボットフレンドリー)環境の構築に向けて、「不定貫ガス置換トップシール惣菜」、 「デジタルツイン、量子コンピューター用データフォーマットの標準化検討」、「ロボフレ標準番重検討」、「シス テム横展開検討」等のテーマに取り組みをした。
 
報告会は経済産業、日本ロボット工業会の主催、日本惣菜協会の共催にて開催された。経済産業省ロボット政策室石曽根室長、農林水産省食品企業行動室阿部室長からの挨拶の後、日本惣菜協会の清水専務理事から、「中食産業は極めて順調に推移している。昨年度は10兆円後半に到達したと思われるが、人手不足は深刻な問題である。食品製造業は130万人程度が従事しているが、中でも惣菜業界では40万人程度が働いている。惣菜製造業でのロボット化は非常に難しく、なかなか進まなかったのが現実。経済産業省、農林水産省の支援、ロボットメーカー・機械メーカーの力添え、惣菜メーカーの粘り強い挑戦など、試行錯誤の連続であったが、漸く光が見えてきた。」との共催者を代表しての挨拶があった。

経済産業省ロボット政策室 石曽根室長

日本惣菜協会 清水専務理事

  

プロジェクト全体説明

日本惣菜協会のAI・ロボット推進イノベーション担当フェローの荻野武氏より、2021年から3年間に渡り続いている11プロジェクトの取り組みテーマ及び取り組み企業について、概略の説明がなされた。

日本惣菜協会 AI・ロボット推進イノベーション担当フェロー 荻野武氏
 

  

事例発表❶ マックスバリュ東海㈱

ユーザー・ベンダーの代表企業から事例発表がなされた。
「惣菜盛付全行程ロボット化統合システム開発」について、マックスバリュ東海㈱執行役員商品本部デリカ統括部長の遠藤真由美氏とコネクテッドロボティクス㈱の代表取締役の沢登哲也氏より報告があった。
 
遠藤執行役員からは「マックスバリュ東海は、7県に渡る240店舗、6拠点の自社工場を有する製造小売であるが、多品種少量生産でもある工場は人手不足が慢性的課題であった。令和3年の経済産業省ロボフレ補助事業へのエントリーがチャレンジへのスタートであった。工場人件費の約半分が盛付作業人件費であるが、その半分を占める惣菜サラダの盛付作業を対象に生産性向上を目指すことにした。
結果、惣菜盛付1ラインの7名が3名に削減することが出来た。令和5年度の補助事業対象は、盛付ロボット+ガス置換包装+不定貫の商品化である。直近では、生野菜サラダのガス置換商品に取り組んでおり、テスト販売中である」とあった。

マックスバリュ東海㈱執行役員商品本部デリカ統括部長 遠藤真由美氏
 

  

事例発表❷ コネクテッドロボティクス㈱

コネクテッドロボティクス㈱ 代表取締役 沢登哲也氏
 

  

事例発表❸ ㈱ホームデリカ

「触覚ハンド活用多品種対応弁当盛付ロボットシステム開発」について、ベルクグループの㈱ホームデリカの原島一誠社長、及び㈱Finger Vision社より報告がなされた。
ホームデリカ原島社長から、「第一・第二工場で製造しているが、直雇用のパート採用が難しく、工場周辺の人口も減少していることもあり、ロボット化に取り組んできた。昨年度の取り組みにより、1ライン2名の削減が出来た。」とあった。

ベルクグループ ㈱ホームデリカ 原島一誠社長
 

  

最後に

惣菜業界は、人手不足が深刻化し、技能実習制度・特定技能実習制度の見直しもなされているが、AIやロボットの現場導入を進めることが惣菜業界の喫緊の課題である。一方で、惣菜メーカーは中小企業が多く、設備投資額も大きくなることもあり、ロボット化への取り組みは難しいという状況であった。
これらの障壁を突破する為、ロボフレの考え方の下、惣菜製造工程の自動化・ロボット化に業界各社で協調して進めていく実例が漸く進みつつある。まだまだ試行錯誤を繰り返し、失敗するケースもあると思われるが、さらに多くの企業が団結した取り組みが進むことによりスピードアップする事が期待される。